出題者の役目は、正解へ誘導することではない

出題者は真相を知っているぶん、つい説明を足したくなります。しかし、先回りして事情を話すと、回答者が自分でたどり着くはずだった瞬間を奪ってしまいます。

以前の無限水平思考クイズでも、AIが「はい」「いいえ」と答えた後に、真相の一部まで口走ることがありました。一度漏れた答えは元に戻せません。この失敗以降、返答を「質問された範囲だけ」に収めることを重要な条件にしています。

反対に、秘密を守ろうとして何でも「いいえ」にすると、合っていた推理まで消してしまいます。質問された範囲だけを正確に返し、次の質問は回答者に委ねる。これを基本にしています。

まずは五つの返答を使い分ける

返答使う場面
はい質問された内容が、固定した真相に照らして成り立つとき。まずは「はい」だけで十分です。
いいえ質問された内容が成り立たないとき。正しい事情を補足せず、「いいえ」と返します。
一部はい一文に複数の仮説があり、合っている部分と違う部分が混ざっているとき。質問文にある二つを分けて返します。
関係ありませんその情報を変えても、真相や行動の理由が変わらないとき。細部を追わなくてよいことを伝えます。
どちらともいえない主語や条件が曖昧なとき、価値判断を含むとき、条件によって答えが変わるとき。質問を分けてもらいます。

「はい」と「いいえ」は、質問された範囲だけに返す

「はい」は、回答者が考えている筋道全体への同意ではありません。質問文に書かれた内容が正しい、という返事です。同じように「いいえ」も、質問の反対側にある事情をすべて肯定するものではありません。

たとえば「仕事として行っていますか」に「いいえ」と答えても、それだけで趣味だと決まるわけではありません。家族のためかもしれませんし、義務や約束による行動かもしれません。そこまで補足すると、新しい手掛かりを出題者が勝手に足すことになります。

特に避けたいのは、「いいえ。実は……」と正しい方向まで説明する返しです。親切に見えても、水平思考クイズでは答えの一部を渡す行為になります。

「いいえ」と「関係ありません」は違う

この二つは混同しやすい返答です。判定練習用の架空例として、「その服は赤色ですか」と聞かれたとします。服の色が重要で、実際には別の色なら「いいえ」です。そもそも何色でも出来事が同じように成立するなら「関係ありません」です。

判断するときは、質問された候補が違うかではなく、その情報の軸自体が真相に影響するかを考えます。年齢の候補が外れたから関係ない、場所の候補が違ったから関係ない、という使い方はしません。

複合質問には「一部はい」を使う

実際のプレイでは、「仕事中で、誰かを助けるために行動しましたか」のように、二つの仮説が一文へ入ることがあります。前半だけが正しい場合、単純に「いいえ」と返すと、仕事中だったという発見まで否定したように聞こえます。

この問題を避けるため、無限水平思考クイズでは「一部はい」と答えられるようにしました。「仕事中という点ははい。助ける目的という点はいいえ」のように、質問文の中にある節だけを分けます。正しい目的を新たに教えてはいけません。

どの部分を肯定してよいか短く説明できない場合は、無理に一つの判定へ押し込まず、「二つの質問に分けてください」と返す方が安全です。

「どちらともいえない」は逃げではない

「その人は悪い人ですか」「普通ならそうしますか」といった質問は、価値観によって答えが変わります。「彼は知っていましたか」のように、誰を指すのか分からない質問もあります。

このとき「関係ありません」と答えると、その人物や意図の軸まで不要だと誤解されるかもしれません。「その形ではどちらともいえません。誰が、何を知っていたかに分けてください」と返し、質問を整えてもらいます。

出題者側で意味を補って判定するより、短く聞き直してもらう方が、後の矛盾も少なくなります。

ヒントは答えではなく、見る方向を渡す

ヒントを出す前には、まず回答者が望んでいるかを確認します。そのうえで、一度に一つだけ出し、次の質問を待ちます。

  1. 見る軸を示す — 人物、場所、時間、目的のどこを見直すとよいかだけを伝えます。
  2. 分かった事実を結ぶ — すでに得た二つの情報に、因果関係がないか考えてもらいます。
  3. 前提を外す — 問題文を読むときに置いていた思い込みを、固有名詞や真相を言わずに指摘します。

答えに含まれる人物、制度、道具の名前を直接出すと、ヒントではなく解答になります。最後の因果関係は、回答者自身の質問でつなげられる余地を残します。

563件の固定質問例でも、二択以外を検査する

2026年8月9日時点で、開発時に固定した質問判定の評価例は563件あります。期待する返答の内訳は、「はい」247件、「いいえ」167件、「一部はい」36件、「関係ありません」または断定を避ける返答113件です。

これは実際の利用者が入力した質問の割合ではありません。判定の変更で既知の応答を壊さないため、意図的に用意した回帰試験の内訳です。ここで分かるのは、二択以外の返答も回帰試験の対象にしていることだけです。

測定方法や数値の限界は、AIゲームマスターを支えるローカル判定の回帰評価で公開しています。

返答前に五つだけ確認する

  1. 質問の主語と条件は一つに決まっているか。
  2. 複数の仮説が混ざっていないか。
  3. 質問された内容は、固定した真相に照らして成り立つか。
  4. 「関係ない」のか、候補が単に違うだけなのか。
  5. 返答へ、質問されていない事情を足していないか。

迷ったときは長く説明せず、質問を分けてもらいます。出題者の説明が増えるほど良い進行になるわけではありません。回答者が自分で次の一問を考えられる余白を残す方が、解けたときのすっきり感につながります。

回答者側の質問も確認する

良い質問例と詰まったときのコツでは、一文一仮説への直し方や、否定回答の使い方を回答者側から解説しています。問題を作る段階の確認は、公平な水平思考クイズを編集する方法を参照してください。

登録なしでAIゲームマスターを試す

実体験: 開発者 / 構成・草案補助: AI / 編集・公開責任: 開発者 / 最終更新: 2026年8月10日